断熱工事で使われる断熱材は、その内部に気体を含むことで熱を伝えにくくするものです。

断熱材には非常に多くの種類があるため、自分の思い描く改修のために適切な断熱材はどれなのか、判断しかねる人も多いことでしょう。

そこで今回は、主な断熱材の特徴をご紹介して、それぞれ比較していきたいと思います。

断熱材の素材と形状

断熱材の素材は空気を固定する方法ごとに、「繊維系」と「発泡プラスチック系」に分類され、繊維系は細かい繊維の間に空気を閉じ込め、発泡プラスチック系は独立した気泡の中に空気を閉じ込めて空気を固定します。

さらに繊維系は、ガラスや鉱物を人工的に加工して作られる「無機繊維系」と新聞古紙や羊毛などの「天然繊維系」の2つに分けることができます。

同じ系統に分類される断熱材であっても、フェルト状であったりボード状であったり、形状がことなり、建物の構造や施工する部位に適した断熱材を選ぶためには、その形状が重要になってきます。

繊維系の断熱材で一般的なのは「フェルト状」と呼ばれる柔軟性に優れた綿のような形状のものです。繊維系にはその他に、ボード状のものやばら状のものがあり、ばら状のものは拭き込み用に使われることが多いです。

一方、発泡プラスチック系の形状は、工場でボード状に成型されるものと現場で発泡されるものに分かれます。

現場で発泡されるものは、現場で吹き付け施工されるので形状がありません。

主な断熱材は、ロックウール、グラスウール、セルロースファイバー、ウールブレス、ビーズ法ポリスチレンフォーム、押出法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォームの8種類となっています。

無機繊維系の断熱材の特徴

無機繊維系断熱材の代表格はグラスウールです。

グラスウールは、リサイクルガラスなどを溶かし、細い繊維状に加工した軽い断熱材で、床や壁、天井など住宅のほとんどの部位に使用することができます。厚みを増すことで、密度が高くなり、繊維糸が細くなればなるほど断熱性を増すという特徴があります。柔軟性が高く、木材の乾燥や収縮にも対応でき、柱と柱の間に隙間なく施工していくのに最適です。

無機質なので燃えず、有毒ガスも発生しないことや、素材がガラス繊維のため、シロアリなどの被害を受けないこと、防音効果があること、高温多湿でも劣化しにくいこと、価格が安いことなど多くのメリットがある。ただし、材料の中に水蒸気が入りやすく、性能が落ちる可能性があるので、使用する際は防湿施工をしっかりと施す必要があります。

もう1つの無機繊維系断熱材であるロックウールは、玄武岩、鉄鋼スラグなどを高温で溶かし、細い繊維状にした断熱材で、これも住宅のほとんどの部位に使用できます。650℃以上の熱にも耐えられるほど熱に強いことから防火材にもなり、吸音性にも優れているという特徴があります。

天然繊維系の断熱材の特徴

天然繊維系断熱材にはパルプ、新聞古紙などを素材としたセルロースファイバーと羊毛素材のウールブレスがあります。セルロースファイバーは加工の過程で、虫・防火対策などのためにほう素系薬品を添加しており、比較的高価で施工に手間もかかります。それでもエコロジーの観点から利用したいと言う人もいますし、筋かいなど施工しにくい場所を確実に断熱することができると好まれることもあります。

また、セルロースファイバーは木質繊維のため、素材そのものが湿気を吸収・放出して、結露が起きにくいというメリットがあります。

一方ウールブレスは、一定の湿度を保ちつつ、水に濡れてもすぐに乾くという特徴があり、とても結露に強いという特徴があります。吸音性、耐久性にも優れており、熱を加えても炭になって炎が上がりにくく、有毒ガスも発生しないので万一の火災の時も安心です。

発砲プラスチック系の断熱材の特徴

発砲プラスチック系断熱材には4つあります。

1つ目は、ビーズ状のポリスチレンを発泡させて作るビーズ法ポリスチレンフォームで、水を通しにくく、比較的価格が安いという特徴をもち、さらに軽くて緩衝性の高い断熱材なので、断熱材が自重で形が崩れたり壁内部で落下したりする心配もありません。

2つ目は、ポリスチレン樹脂、発泡剤、難燃剤を混ぜ合わせ、発泡させながら押し出してボード状に成形される押出法ポリスチレンフォームで、薄くても断熱効果が高く、堅くて耐圧力があるため、外断熱に適しています。また、水に強く吸湿しにくいことから基礎断熱でもよく用いられます。

3つ目の硬質ウレタンフォームは外張り断熱で用いられる断熱材で、薄くても優れた断熱性をもちます。また、自己接着性という他の断熱材にはない特徴がることから、現場発泡のものは接着剤を使わなくても金属・合板・コンクリートなどの表面に直接発泡することで、特殊な形状の建物にも対応できます。

4つ目のフェノールフォームは断熱性が高いだけでなく、経年劣化しにくいという特徴やカッターナイフなどでも簡単に加工できるという特徴があります。さらに熱を加えると炭化する性質から不燃・準不燃材料の認定も受けています

まとめ

今回ご紹介したように、断熱材として使われるものの中には、吸音性、吸湿性、耐火性などに優れたものもあります。それぞれ原料が違えば価格も施行方法も違います。更にリフォームに適している物、適していない物があります。断熱材の特徴を知った上で、よく吟味することをおすすめします。